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■「病院内のIT運用を見直して医師や職員の満足度向上へ!」連載記事について

大規模病院のITサービスデスクにおいて運用サポートの経験を持つ専門家が実体験をもとにITサービスマネジメントの改善方法を全5回にわたりご紹介します。ITサービスマネジメントの課題の解決の一助となりましたら幸いです。


連載ブログのeBookが登場しました。まとめて読みたい方、ぜひご活用ください。

今まで医療機関向けにIT部門においての問題点や対応方法について、4回の記事を記載してきましたが、共感できる部分や改善出来そうなプロセスはございましたでしょうか?業務改善という点ではアナログな部分も多く見受けられたかと思います。最終回はITサービスマネジメント(以下ITSM)を更に取り入れる手法をご説明していきます。

既にご存知の方もいるかと思いますが、ITSMでは業務改善における4つのPを成熟させる必要があると言われております。

  • Process ‐プロセスの改善
    • 業務や仕事のやり方を高度化(可視化や簡略化)
    • 役割や担当の適切な割り振りなど
  • People -人の改善
    • 人のスキルやモチベーションが向上する事による業務改善
  • Partner -パートナー
    • 定例業務や単純作業をアウトソーシングすることで、作業負荷の軽減と本来の業務注力して物事に取り組むことが出来る
  • Product -製品/技術の改善
    • ツール導入による”効率性の向上”

過去の記事ではプロセスの改善をメインにお伝えして参りましたが、最終回はこの【Product -ツール】にフォーカスをあてていきます。

 

■ ITSMツールの導入に最も適したツール

今回ご紹介するManageEngine「ServiceDesk Plus」(以下SDP)は医療系IT部門が抱える数多くの課題を解決出来るのに適していると考えます。

何より大変安価であるため、ITSMツールのスタートアップとしては非常にお勧めできるプロダクトです。

それでは過去4回の課題を振り返りながら、その解決策の具体例を記載していきます。

 

■ 第1回 案件管理台帳の運用

第1回は案件管理台帳を作成して運用・共有することで、”案件の可視化”や滞りを未然に防ぐ活動が出来るという内容でした。

<SDP導入による効果>

  • 案件は全てデータで管理するため、別途エクセルなどでの台帳作成が不要
  • 問い合わせごとに案件を手動起票するだけでなく、メールからの自動起票に対応
  • 誰でも案件の閲覧と進捗の確認が可能(権限ごとに閲覧の制御も可能)
  • 担当者に割り振られているタスクは一目で確認し、担当割り振りも容易に行える
  • 依頼発生からの経過日数を自動判定し、締切や期限が近づいている案件はメール等で通知をすることが出来るため、対応漏れの抑制が可能

案件ごとのステータス(未対応:対応中:完了)が一目で分かるため、失念や対応漏れを防止することが出来ます。また受信メールからの自動起票が出来るため、手入力の手間が省けることです。

至急で無いような通常案件は、問い合わせ窓口にメールでお問い合わせや依頼を挙げていただくようにすれば、その分問い合わせ案件が減少するため、作業依頼に集中して対応することが可能となります。

 

■ 第2回 IT部門の作業工数の可視化

第2回はIT部門の作業工数を開示して共通認識とし、計画的な作業要望を挙げていただく事で業務品質の向上を狙うといった内容でした。

<SDP導入による効果>

  • リクエストごとにSLAを設定してルールを紐づけることが可能
  • 依頼者がリクエストを起票する際、対応日数の目安を表示することが可能

依頼者がリクエストを起票する際、依頼者が対応までに掛かる日数を予め把握出来ることで認識の齟齬が発生しにくくなります。突発の作業依頼や無理難題なリクエストの減少に繋がるため、業務品質の向上が見込まれます。

(例:プリンタ設置希望を出した場合、画面上部に「〇日以内に作業予定」と表示)

 

■ 第3回 気が付けばデスク周りは資料や申請書で山積みに

第3回は申請書をデータ化して統一することで紙媒体を減らし、搬送などに掛ける作業工数を削減・効率化が実現出来るという内容でした。

<SDP導入による効果>

  • 申請者が消耗品や設置先移動等のリクエストを起票するとIT部門に通知される
  • 全てSDP内に登録されるため、消耗品や申請書関連で紙媒体が不要になる
  • 構成管理や資産情報もSDPに登録出来るため、端末設置先情報なども管理して登録しておくことが可能(プリンタに接続されている端末が何台かなど)
  • 特に重要な変更に関しては”変更諮問委員会”のメンバーを登録することで、変更要望に対して承認の有無を設置することが可能※1

※1 マスタ設定などの変更依頼は、変更諮問委員会(CAB – Change Advisory Board)呼ばれる組織を院内で決定し、そこの承認を経てからの実施とすることも可能です。(所詮変更申請を承認する委員会です)

例:医師から新しい注射薬をマスタに登録したい!という要望が挙がった場合に関与する職種と言えば

      1. 患者様に注射を実施する医師
      2. 注射薬を調剤する薬剤科
      3. 注射薬のコストを計算する医事課

このように様々な職種の方々をCABとして登録し、それらの承認が許可されたら、IT部門へマスタ変更要望が通知されるという設定も可能となります。

 

■ 第4回 問い合わせルートの一本化で負担軽減へ

そして第4回は煩雑な問い合わせルートの一本化がもたらすメリットをお伝えしました。しかし窓口の一本化は「問い合わせの振り先が分からない」「窓口の工数が増加する」といったような様々な課題が浮上しますが、SDPを導入することで全て解決することが可能です。

<SDP導入による効果>

  • リクエストの際、要望に対しての問い合わせ先を予め登録が出来るため、Aの依頼はA社へ、Bの依頼はB社へといった自動振り分けが可能
  • 仮に申請先を間違えたとしても、IT部門側で然るべき技術担当者に再度振り分けが可能なため、依頼者のたらい回しを予防することが出来る
  • そもそも依頼が電話ではなく、ツールを使用してのリクエストになるため、電話対応の時間削減が期待出来る。さらに担当者が当日不在となっていても、リクエストを送っておく事が出来るため、不在時の出戻り等も解消される

 

~まとめ~

病院内のIT運用というのは、医療機器に関しては最新のテクノロジーを導入しますが、周りの環境においては昔からの古き良き習慣が根付いている部分が強く見受けられます。それは「変革」に対して後進的な部分があるためだと思います。

10年前に新規電子カルテ導入を行った際に、医師の方より紙カルテの方が圧倒的に早いから導入する意味はない!と仰っておりました。

ところが最近は若い医師が増えてきて電子カルテメインで使用しているため、逆に「紙カルテの書き方が分からない」といった声が多く聞こえるようになりました。「紙カルテ」→「電子カルテ」への変革が馴染んできた表れだと思います。

このように日々当たり前だと感じている業務プロセスは、デジタル化によって更に簡略化するべきだと皆様も感じていると思います。

そのためには、IT部門が重い腰を何とか上げて「変革」を提案し、業務の効率化・簡略化による成果を体験してほしいと思います。

今回ご紹介したツールManageEngine「ServiceDesk Plus」は、無料で全ての機能が30日間使用可能です。是非ともお試しください!

◆筆者紹介

株式会社フェス
宮崎 礼(みやざき れい)

株式会社フェスITSM事業部に所属し、2019年11月よりManageEngineのITSM分野のアンバサダーとして従事。大規模病院のITサービスデスクにおいて運用サポートを経験。10年間で1万5000件を超える案件に対応。電子カルテの問い合わせ窓口や操作研修の実演、端末・プリンタの設置対応をはじめ、カルテのテンプレートを500件以上作成。電子カルテの頻用項目の簡略化による医師の入力負担軽減に加え、後利用・研究に活かせると言った所謂”医療ビッグデータへの活用”に繋がる部分で、多数支援を行った。
院内会議の調整や関係各所との折衝を含め、医師や看護師といった方々と積極的にコミュニケーションを取ることで、院内の負担軽減に繋がるような提案を繰り返し行ってきた。

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